軌跡

輝石のあれこれ

四季めぐる物語 解説とあとがき

プロジェクト・キセキ初の連作オリジナル楽曲シリーズ「四季めぐる物語」が完結したので、それぞれの歌詞も載せつつストーリーの解説をしたいと思います。


👟一話・夏「FEEL TOO HOT!」
⚓歌唱…琥珀、水輝(KIRA)
ー ー ー ー 歌詞 ー ー ー ー
向日葵カラーの水着 ちょっと大胆!?
気にしない 誰より目立たなきゃ
だって思い知らせるの
かわいくってオトナっぽい 私の本気
キラキラの太陽も 青い空、海ですらも
みんな恋しちゃう 私にね!それなのに…
キミだけがオトせないから
告っちゃえば? 夏だもん!
告っちゃうよ! 思い切って ねぇ、逃さない
Feel! 地球で一番熱い視線を求めてる
もう止まれないの この恋受け止めて!
キミの肩が触れる距離で 花火が見たいなぁ
ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー
恋する女の子視点で物語はスタート。
「キミだけがオトせない」ので、夏までに精いっぱい自分磨きをして自信たっぷりになった女の子は、ついに本命の男の子に告白します。
タイトルはFEEL TOO HOT!(暑すぎる!)
元気でよろしい。

🥀二話・秋「untitled lyrics」
🍫歌唱…菫子、八枝(Violet Star)
ー ー ー ー 歌詞 ー ー ー ー
僕の言葉に戸惑って口をつぐむ君の
潤む目に映る花火はきれいだった
ひとりのために流す涙じゃなくて
世界中を虜にする笑顔が見たいよ
誰かのものにならないで
すべてが君のものになるから
君が歌うラブソングに
宛名なんてない方がいい
ー ー ー ー ー ー ー ー ー
男の子視点に切り替わります。
自分磨きをして素敵になった彼女に自分なんかは相応しくないと、自信の無さから告白を断ってしまいます。
代わりに、その努力を無駄にしないためにアイドルになることを提案します。
これは彼のワガママなところで、自分のものにはできないけれど他の誰かのものにもなってほしくないんですよね。ある意味両想いだったという…。
タイトルはuntitled lyrics(題名のない詩)
歌を歌うのは君の方なので、僕の詩には題名なんかありません。っていう卑屈なタイトルです。

📗三話・冬「GIN-SEKAI」
🐲歌唱…千白、ルナ(FROST CRYSTAL)
ー ー ー ー 歌詞 ー ー ー ー
ほつれた気持ちは 逃げる場所探して
冷えた空気に溶けようとした
キミだけだなんて それはね、言い訳で
弱い自分を誤魔化そうとしてた
ねえ、あの日 キミの言葉で
傷ついただけじゃない 前を向けた
イルミネーション花火みたい
思い出してしまうけど きらめく光たちは…
溢れ出した ステージから誰か宛のラブソング
キミもどこかで聴いてくれるのでしょう
ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー
冬でまた女の子視点に戻ります。
「弱い自分を誤魔化そうとしてた」彼女は、彼の言葉で本当は自信なんてまだ持てていなかったことに気づきます。そして、本当に自分を好きになれるように、アイドルを目指すことを決意します。
冬の街のイルミネーションの光で、彼と見た花火を連想して落ち込みますが、無理矢理ステージやコンサートライトの光を想像することで前を向こうとしているシーンです。
タイトルのGIN-SEKAIはそのまま銀世界です。
恋を忘れて、新たな一歩を踏み出す前の、一度全てが真っ白になったゼロの状態。


🍒四話・春「departure from script」
🌸歌唱…さくら、みこと(misty*misty)
ー ー ー ー 歌詞 ー ー ー ー
やわらかな日差しを 鬱陶しそうに避けて
宛もなく歩くあなたに出会った
決意の瞳と唇からこぼれる
するどくて壊れそうなガラスみたいな声で
「歌いたい」って、あなたは言った
そこに立つ意味は きっと切ない物語
大丈夫だよ すべて忘れさせてあげる
花火の音も 聴こえない場所へ行けるから
ふたりなら あなたが笑えるなら…
ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー
三者・プロデューサー視点の歌詞です。
アイドルを目指すことにした女の子と、アイドル事務所のプロデューサーが出会います。
プロデューサーは、彼女の真剣さと余裕の無さから、忘れたい過去があってアイドルになろうとしているのだと悟ります。それでも「あなたが笑えるなら」と、彼女自身を笑顔にすることを第一の目標にして、プロデュースすることを決めます。
タイトルはdeparture from script(台本との決別)
筋書き通りトントン拍子の恋じゃなく、彼の突拍子もない提案に敢えて乗って新しい世界に踏み出す。そんなイメージです。

・全体の話
すべてアコースティックギターをメインに構成されているので統一感はありつつ、楽曲のテイストはそれぞれ全く違う風にできたかなと思います。
四季めぐる物語のテーマは「失恋」ではなくて、「“ひとりの女の子”が“アイドル”になるまで」なんです(失恋はあくまできっかけに過ぎないという)。イラストで見ると、夏→秋→冬で歌唱アイドルと主人公の女の子の距離が近くなって春で構図が逆転しますが、これは女の子がアイドルになる過程を表しています。だから春の絵は彼女は奥側(夏や秋で歌唱アイドルが立っていた場所)にいるんですね。冬の千白とルナが口を隠しているのも、彼女が歌う側になろうとしているのを邪魔しないためです。
連作は彼女のデビューが決まるところで終わってしまいますが、彼女が本当に自分に自信を持てるようになったとき、アイドルとして輝く彼女を彼が目にしたとき…どんな物語が続くでしょう?この先はぜひ、みなさんでご想像いただければと思います。

長期に渡る連作となりましたが、最後までお付き合いいただきありがとうございました!